劇作家協会への質問状、「安全保障法制等の法案」について(微調整版)

  • 2015.07.06 Monday
  • 22:26

昨今のニュースを観ていて「あれ、もしや?」と思って日本劇作家協会のサイトを覗いてみたら案の定、こういった記事がupされていました……。

「安全保障法制等の法案」について

僕は賛同しません。
僕には日本弁護士連合会の声明があまりにも偏向しているように感じられますし、政治問題を語るときに弁護士の権威を借りるつもりはないからです。劇作家協会にいるからには、こういった政治的な宣言に賛同しなければならないのでしょうか。僕はその必要を感じません。少なくとも僕個人としては、今のところ徒党を組んで「運動」に加担するつもりもありませんし、自分の言いたいことがあれば自分でいいたいと思っています。
 
もちろん、日弁連の宣言に賛同したい劇作家の方々は自由にすればよいでしょう。まったく反対するつもりはありません。だから、同様に宣言に賛同しない自由も協会内にあっていいと思うのです。なぜ、このような国民的に意見が割れている案件で、協会としてどちらかの立場を表明する必要があるのでしょう? 僕も劇作家協会を辞めたいわけではありませんが、こういった宣言にずるずると加担させられていってしまうのは、とても困ります。きっと、これから入会を希望される方にも無用のハードルと感じられてしまうことでしょう。

僕は、そもそも、劇作家たるものは完全な政治的中立という立場を取り得ないものと考えます。人間について、あるいは社会について作品を創り、何かを描き、発表するという行為は、必然的にある種の政治性を帯びてしまうからです。ですから、劇作家協会のような表現者の集団が政治的一致の下に団結し、ある種の声明を出す、あるいは賛同の立場を示すということは、よっぽど明白な言論の自由に対する侵害があった場合などに限定されるのではないでしょうか。いや、何が「明白な言論の自由に対する侵害」なのかについても議論が割れることでしょう。まさに今回、起きていることがそのような認識のズレであるようにも思います。

集団として声明を出すからには、その集団はある種の政治的党派性を帯びていきます。僕はそんなことを望んでいません。おそらく、協会の方々もそうなのではないでしょうか。僕が望んでいるのは、各劇作家の政治的独立を、協会には保障していただきたいということです。いろんな考えの劇作家が所属している方が、協会がおもしろくなるのではないでしょうか。

政治的な主張は個人でもある程度できる時代です。いや、声をあげるためにはいくらでも別の方法があります。デモに行ってもよいでしょう。個人のSNSを使ってよいでしょう。出版物で訴えることもできますし、また、実際に自分の支持する政治団体に参画することも可能です。なぜ、劇作家の協会がそういった活動をぜひともしなければならないのでしょうか? しかも、劇作家協会がこのような声明を出すことに、政治の側は大して注意を払っていないでしょう。今回のように日本弁護士連合会の主張に便乗するという形では、なおさら表現者としての迫力をアピールすることにはならないように思えます。おそらく、安全保障問題に関して劇作家協会の動向を注視している方はとても少ない。それで、いいのではないでしょうか?

と、いったわけで、劇作家協会に下記の質問状を出しました。


【1】 仮にも文学者の集団である劇作家協会が、独自の言葉を紡ぎだして会員の同意を得る、というプロセスを経ることもできず、日本弁護士連合会の方々の宣言に便乗するような形を取ることについて、どう考えておられるのか。

【2】 劇作家協会は、言論・表現の自由の問題に直接的に関与するとは言いがたい今回のような政治問題に今後とも関与していくつもりなのか。そうであるならば言論表現委員の方々と政治的な立場を異にする僕のような人間は、どうやって自分の思想信条の自由を協会内において保っていけばよいのか。(もちろん劇作家協会が代議制をとっていることは承知しておりますし、僕は協会としての意思決定を理事の方々に委任している自覚をもっております。ただ、僕は現在のところいかなる政治運動団体にも関わろうと思っておりませんので、こういった政治活動に加担させられていく状況に混乱しております)

【3】 劇作家協会は井上ひさし初代会長による「子どものためにクリスマスの劇を書いたお父さんも入会できるように」という理念を今も掲げていると存じます。で、あるならば、なぜ政治的な不一致を招くことが明白である今回のような事案に関して、団体として賛意を示す必要があるのか。また、すでに「非戦を選ぶ演劇人の会」という場所があるにもかかわらず、なぜそのような主張を劇作家協会本体で行うのか。


以上です。このことに対して、劇作家協会は非常に真摯に対応をしてくださいました。早速、先日、高円寺の劇作家協会事務所にて言論表現委員会の方々と話し合いの機会を持つことができました。なんの役員でもない、一会員の意見に対してわざわざ複数の委員の方々が時間を割いて意見を聞いてくださったことに感謝しています。現在、言論表現委員の方々からの書面での回答を待っているところです。すでにメールで返答をくださった委員もいらっしゃいましたが、それはその方の個人の見解ですので、ここに掲載することは見合わせたいと思います。

【付記】

僕は日本の演劇界には、横のつながり、ネットワークが必要だとかねてから感じてきました。ただでさえ小さい業界なのに、横断的に人とつながるためのネットワークが整備されていないため、とても見通しが悪い業界になってしまっていると感じるからです。強力な団体が必要だとは考えていませんが、何かふとした時に役立つ、全国的なネットワークのようなものがあれば便利なのになあ、と感じています。

職能団体としての権益を確立する、といった、ある種の目的意識をもって活動している劇作家協会と、僕の勝手に夢想しているゆるいネットワークというものの間には、ある程度の隔たりがあるのだなあ、ということが今回の件でわかりました。新しい団体を次々に立ち上げていくというよりは、既存のネットワークをなんとかうまく利用していけないものかと思っているのですが……。なかなか簡単にはいきませんね。


 
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