脳はなぜ発展したのか

  • 2006.05.08 Monday
  • 05:38
『唯脳論』を読み返してみた。今回面白かったのは「なぜ脳はこんなにも無駄に進化したのか?」という話。まあ、いちいち引用するのも疲れるからざらっと要約する。

ダーウィンの進化適応説ではもちろん人間の脳がここまで複雑化することは説明できない。必要によって要請されていないからだ。では、なにが脳にこのような発展をもたらしたのか?

前提として一つには、脳がもともと剰余を含んだ神経組織として発生する、という事情があるらしい。

人間の指が生成される過程というのは、段々と指の細胞が伸びて行くのではなく、指と指の間の、いわばみずかきみたいな部分の細胞が死んでいくこと、間引きされていくことによって起る。誤解を恐れずはしょれば、だいたいそれと同じようなことが脳の内部でも起こっているのだという。

最初、1歳ぐらいまで神経細胞はほぼ数が揃う。で、使う部分は神経接続がどんどん活発になっていくが、使わない部分は減っていく。最初は多めにあったものがちょうどいいぐらいまで減る、ということらしい。

で、ある時、人間の神経細胞ってものが対応物を自分自身の中に見つけた、と。

違う角度から言おう。
手があってそれを動かせば手に対応した脳の部分が発展するし、足があればまた脳の足担当部分が発展する。よく「切断した手が痒い」なんていう話があるのは、手はなくなっても、手を担当していた脳細胞はなくならないからだ。

抹消に対応する形で脳は活性化する。

その抹消が、手とか足とかとかの変りに「脳」にむかったらどうなるか? 
脳は自分について「考える」。意識をもち、認識を深める。それらの活動が「使わない部分は減っていく」という原則に逆らって脳に剰余を「残す」ことになった。ということらしい。

なんか自分的にはちょっと説明できたような気分になった。けど、これを読んで分かる人がいるのでしょうか。それは私の知った事ではない。って、いや、ごめんなさい、知ったことですよね。わかっていただけると嬉しいです。が、ま、語ることで覚えておこう、という私のケチな精神の発露を許してやってください。

そうそう。上記のようないわばループ状の「対象化」が脳の発展の前提なのだから、脳の活動が多分に「自慰的」なのはいわば構造的な必然だ、と彼はいうんですね。それはなんか分かる気がするなァと。

唯脳論と食パン

  • 2006.05.08 Monday
  • 05:23
食パンを食べると食費が浮きます。

ブルーベリージャムを買って来て、食パンに塗り、食べています。さすがに一斤食う前にお腹が膨れますが、一斤食べきったとしても200円で済む。こりゃなんて経済的な食事なんだろう。


『唯脳論』を読み返す。養老孟司著。


それにしても前から思っていたけど、養老さんはすぐにちゃぶだいをひっくり返すようないいかたをする。この本だってしょっぱなから、

「脳がもはや夢想ではなく、現実である以上、われわれはそれに直面せざるを得ない。そこからわれわれが解放されるか否か、それは私の知ったことではない。」

とかこんな感じ。こういった文体からもわかるけど、この人は非常に諦めがいい。というか、態度が潔い。解説の人が養老さんがこの本で「世界は脳だ!」と言い切らないことに業を煮やしているんだけど、養老さんにとって「世界≒宇宙」なんてことは「等身大以上のこと」に違いない。そんなことに手を出すのは「唯脳論」の仕事じゃないと彼は思っているんだろう。

唯脳論にあるのは限界の措定だ。私流にまとめれば、「そもそも人間の脳っていうのは数万前から進化していないのだから、ああだこうだといったって似たようなことしか考えられないに違いない。だって、そういう風にできているんだから」ということだろう。

人間の思考を「脳の構造」から、つまりは解剖学的な見地から解き明かしていくのは一種の「構造」主義なのかもしれないが、ともかくこの人はそこから出て行くことを考えない。「脳は脳のことしか知らない」と言い切って、「脳よりも大きい」世界のことについては沈黙を守る。その潔さが唯脳論の歯切れのよさを支えている。その「脳」が置かれている世界というのはどこにあるのか? というのを考えてしまわずにいられないのが哲学だが、所詮その思考自体も「脳」の構造から自由であることはできない、ということを忘れるなよ、と彼はいっているように思える。

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